あがり症の治療にはどういったものがある?

人前などで緊張するのは誰にでもあることですが、日常生活に支障が出るほどの緊張が続く場合はあがり症として治療を検討しなければなりません。あがり症の治療には薬物療法や催眠療法などがあります。
薬物療法は精神科など医療機関に行った時に選ばれることが多くあがり症ではなく社会不安障害と診断されます。即効性があるというメリットを持つのが抗不安薬で脳の活動を抑えて不安や緊張を緩和してくれます。抗不安薬には様々な種類がありますが、あがり症に効果があると分かっているのはリボトリールです。他の種類でも効果が期待できないわけではありませんが、リボトリールが一番最初に処方される薬になるのが一般的です。飲み続けると耐性ができて効果を感じにくくなったり薬を少しでも飲まないと強い不安に襲われたりするので、少しずつ飲む量を減らすことが大切です。即効性はないものの同じようにあがり症の治療に効果的な抗うつ剤と一緒に服用すれば耐性や依存の問題を解決できます。妊娠中や副作用などで抗不安薬と抗うつ剤が使えない人は体質に適した漢方薬を処方してもらいます。漢方薬は1ヶ月くらいかけて少しずつ効果を出していくものなので根気よく続ける必要があります。
催眠療法は患者を催眠状態という潜在意識に引き込むことで根本的な原因を排除し過度な緊張を感じないようにすることです。顕在意識とは私たちが当たり前のように意識している世界のことですが、意識していない潜在意識というものも存在します。潜在意識は小さな頃に言われたことなど過去での出来事が蓄積していて、この影響を受けて通常より人前であがってしまう可能性があります。正しい催眠療法を受けると患者の脳波は覚醒を示し潜在意識にアプローチできるようになります。人前で失敗した経験を持つ患者の潜在意識の中で、「自分はあがり症ではない」と新しい情報に塗り替えます。自分はあがり症母親のお腹の中にいる感覚を再体験して安心感を得るといったポジティブな体験も可能で、本来の自分を取り戻すことを目的としています。話し方教室などで実践されておりあがり症の治療でも良い結果を残しているのが認知行動療法です。あがり症の人は自分が他人からどのように見られているかをよく気にしており否定されることを恐れるところがあります。一人でいる時に声が上ずったり足がガクガク震えても誰も見ていないので不安になることはありません。しかしその場に1人でも自分以外の人間がいると、緊張している自分を馬鹿にしているなどと考えて本来のパフォーマンスを発揮することができなくなります。
認知行動療法では自分は他人から否定されていないと自然に考えられるようにする練習を行います。まず他人の視線が気になる人の多くが他人の目ではなく他人に見られている自分を意識しているので、注意を別の場所に移動します。会話する相手の服装や顔の特徴などに着目する練習をし、最終的にあがり症が原因で避けてしまっていた場所に積極的に通います。例えばあがり症の人は人が多く集まったり会話したりする場所を苦手とするので飲み会に参加するのが効果的です。あがり症が治ってから楽しみたいと考えている人もいますが、自信を付ける機会を設けないと他人から否定的に見られているという誤解を解くことはできません。緊張してもそれを隠そうと余裕を無くすのではなく緊張している時こそ冷静に相手を観察します。そのためには緊張した時についやってしまうような行動を止める練習もマスターしておく必要があります。
森田療法は1919年に森田正馬が神経症の治療法として始めたもので不安を「あるがまま」に認めるのが基本です。あがり症を始めとする神経症に該当する人はより良く生きることを目標としているので他人からの評価を必要以上に恐れると森田氏は考えました。あがり症の人は緊張や不安を排除したら楽になれると考えますが、自分の心の中で生まれたものは病気のような異物ではありません。自分の心の一部として受け入れ人から良く見られたいという欲望に気づくことが治療となります。「良く思われたい」というのは決してネガティブなことではなく、だったら良く見られるためにもっと努力をしようと自分を鼓舞できるものと捉えます。よって不安を解消することや良く見られたいという欲望を消す必要はありません。不安にとらわれてしまえばあがり症の症状が出てしまうので、どうして不安に感じるかに意識し自分をポジティブな目的に集中させるのがポイントです。森田療法には入院治療と通院治療があり細かい部分が異なるので自分に合った方を選びます。
あがり症は場数を踏めば次第に人前にも慣れて緊張しなくなると言われますが心の状態は脳に強く影響します。脳の仕組みに沿った治療を受けることで心の健康を取り戻すことができ生き生きとした日常生活を送れるようになるので、辛い時は治療を受けるのが良いです。

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