あがり症で手の震えがあるときはどうするといい?

あがり症で緊張すると知らず知らずのうちに始まるのが手の震えです。持っている原稿が見えなくなることや飲み物をこぼしてしまうこともあります。どうにかして止めようと強く握ると気持ちとは裏腹にどんどん震えが大きくなって余計に緊張しています。そうなってしまったらどうしようもないのでしょうか。重要なのはどうして震えるのかと言う理由を知ることです。

あがり症は自分の置かれた状況に不安を感じて緊張することで起こる反応です。汗がたくさん出たり、喉が渇いたり、声が出なくなったり、手が震えたりします。これは決して悪いことではありません。緊張すると言うことは生きていく上で重要な理由があります。それはすぐに動くことができる状態にすると言うことです。不安や恐怖を感じる状況はその人にとって危機的状況のはずです。人間が自然の中で生活していた時のことを考えると、それは逃げ出したり戦わなければならない状態と言えます。そんな時に体を動かすことができなければ命を落とす恐れがあります。緊張は体の筋肉を温め、心拍を高めて動きやすい状態にしておく働きがあります。

人間が自然から離れて社会を形成したことにより、危機的状態は生命の危険ではなく、精神的なものに変わってきました。体を動かす必要はなく、どちらかと言えば真逆の落ち着きたい状況です。だから緊張した時の反応が無意味で、起きて欲しくないものになってしまいました。でも、危険に対応する状況がないわけではありません。そんな時のためになくすことはできません。できることといえば、できる限り早くその状態から抜け出すしかありません。

緊張すると体の中ではどのようなことが起こっているのでしょうか。その答えに重要な鍵を握っているのが神経伝達物質です。神経伝達物質には「アドレナリン」と「ノルアドレナリン」があります。それらの神経伝達物質は分泌されることで交感神経に働きかけます。交感神経が活性化すると血圧が上昇し、血管が収縮し、筋肉に力が入った状態になります。この作用が急激に起こることで筋肉が震えるため自由に動かすことができる手の筋肉が震えることで手の震えが始まります。だから、抑えようと思って力を入れることは、さらに震えを大きくする原因になってしまいます。

手の震えを止めたい時には、筋肉を柔らかくほぐしてあげることが効果的です。緊張しているのにそんなことできないと思われがちですが、落ち着いて行うことで自然と身についてしまう対処方法です。手の震えを抑えると同時に気持ちも楽になって緊張から解放されることもあります。

まず、緊張の原因となっている交感神経から着目していきましょう。交感神経の働きによって起こっている現象であれば、それを打ち消すことで改善されるはずです。それが副交感神経です。副交感神経は交感神経と真逆の働きをします。交感神経と副交感神経は表裏一体でどちらが優位に立つかによって体の反応が変わってきます。これを自律神経と言います。緊張している時には交感神経が優位になっているので、副交感神経を優位になるように変えていくことが重要です。

副交感神経が優位になるとリラックスした精神状態になります。筋肉は弛緩し、心拍も落ち着いている状態です。食事をした後や就寝前には同じような状態なっているはずです。しかし、自律神経は意識してコントロールすることができません。そのため積極的に自律神経を刺激して、副交感神経が優位に働きかけるしかありません。

自律神経は横隔膜に多く密集しています。そのため呼吸が浅い胸式呼吸をすると交感神経が優位になりやすくなります。横隔膜をゆっくりと大きく動かすことができる腹式呼吸を繰り返すことで副交感神経を優位にすることができます。お腹を大きく膨らませるようにゆっくりと息を吸い込み、同じようにゆっくり息を吐き出していきます。そして吐ききったら、また、ゆっくりと大きく息を吸い込みます。深呼吸が緊張をほぐすのに良いと言うのはこのような作用を促すためのものです。特におへその10cm程度下あたりにある丹田と言うツボに意識を集中して呼吸すると効果が高いと言われています。深い呼吸を繰り返しながら心の中で大丈夫と自分を安心させるとさらに落ち着きやすくなります。

また、筋肉をほぐすために手をぶらぶらと振ることも効果があります。力が入って硬くなっている部分を揺らしてほぐすことで交感神経に働きかけることができます。これらの動作があがり症で手の震えが止まらない時に効果がある方法です。昔ながら言われているような方法ではありますが、理由を知ってから行うことで、どうのようにするのが効果的かがわかるようになります。落ち着くと言うことは自律神経を副交感神経が優位にすることです。ゆっくりと横隔膜を動かすことでそれを実現することができます。手の震えが止まらない時に思い出してやってみましょう。